[本文1448]【知念郡再び下知役を建つ。】知念郡、近来疲に就き、百姓労苦す。経に十四年を歴るの卯に于て、下知役を恩建し、其れをして農業を教へ、且其の外に于ても、亦多方に検束を加へしむ。此れに因りて、百姓農業に励精して、年貢全納し、一来興に就く。故に已に八年を歴るの酉に于て、已に下知役を止め、只検者・酋長を将て、教令を施すを為す。奈んせん数年の疲、全興の験を見ず。今復、百姓怠りを致し、年々の諸賦欠す。且私負の債有り。就興の謀、商議を尽くすと雖も、術の施すべき無し。且下届申年、将に冊封の大典有らんとす。此れが為に憲檄を奉有すること案に在り。但今の情状を見るに、後年興に就き、公用滞らずして、弁理するの術は、検者・酋長等の力を将てしては、験を建つること能はず。請ふ、旧に仍つて下知役を恩建し、勤むる所の数、五年の期を限り、若し其の験を建つれば、則ち重ねて其の功を賞することを賜へと。惣地頭及び聞得大君御殿大親等、朝廷に禀明す。随即に之れを准す。