[本文1464]【本日、八重山島上原村の仲底仁也の善行を褒賞す。】八重山島上原村の仲底仁也は、耕作に力作し、小しも間断無し。家資漸く饒かに、毎年の諸貢物も欠くこと無く上納し、遂に十石余を将て過納す。且村人と交はるに和睦を以てす。況んや農圃に老ゆるを以て、叮嚀に耕作の方、節に随って菜を蒔くの法を篤教するをや。村民此れを受け之れを植ゑて、時節を違へず。且上原村より石垣に至るには、海路を隔離する七里余なり。人、病を興すの時に当りて医を請ふこと能はず。甚だ療治を妨ぐ。是れに由りて、仲底、資を捐して、万金丹・紫金錠・洋参、其の外薬種・酒等を買ひ備へ、病を興す者有るを見れば、随ひて之れを発与す。不如意の者等、療治の需、不足の者に至りては、周く料穀を賑して、実に療治せしむ。多く村民の為に料理する有り。請ふ、挙用を賜はんことを。百姓等具呈し、管役印結を加具して呈請し、在番・筆者・頭目、朝廷に咨請す。随ひて筑登之座を賞す。