［本文1472］【冊使国に臨み、封典既に竣りて回朝す。】欽命冊封正使翰林院修撰趙文楷・副使内閣中書李鼎元、又護封遊撃、封舟に附駕し、都司・巡捕官は二号船に坐駕して、五月初七日、五虎門に在りて接貢船と一斉に開洋し、十二日那覇港に駕臨し、諭祭曁び冊封の典礼已に竣る。又皇上、御書海表恭藩の四字を欽賜する有り。今般、天朝、喪服未だらざるを以て、冊使辞して筵宴を卻く。故に、中秋・重陽並びに請宴無し。其の外亦挙行の典礼に宴膳を進むる莫し。但冊使は、請ひて天朝より遠来す。筵宴を廃止するに忍びず。有る所の七宴は、旧例に依照して、宴席及び礼物を奉送す。又冊封既に竣り、王上天使館に行幸して、恭しく謝す。故に冊使も亦王城に光臨して回拝す。此の時、御書院に請ひて宴膳を奉進す。且南苑に請宴するの時、烟花を看るを請ふ。今般、皇上欽賜の宸筆は造りて額と為す。天使城に臨み、額を拝看す。此の時、東苑に請宴し、演戯有るを看る。且餞宴を行はんとし、再び本苑に宴し、亦演戯有り。又都司・巡捕官を南苑・東苑に請宴して、烟花・演戯等の芸を看る。諸凡の典礼既に竣り、十月二十日、那覇開船して馬歯山阿護浦に到りて湾泊す。本月二十五日、該地放洋し、十一月初三日福州地方に駕到す（護封遊撃は、国に到り、未だ幾くならずして病故す。都司は封舟に附駕し、巡捕官は二号宝船に坐駕して以て帰朝す。又封舟、馬歯山に湾泊するや、該島具報して前み来る。随ひて御書院当具志川里之子親雲上・署長史親里親雲上を遣はし、礼物を具へて問安す。此の日、封舟開駕して、逢着するを得ず）。