[本文1486]【本年、宮古島池間村の前泊筑登之等の功労を褒賞し、爵位を頒賜す。】本島池間村は、海を隔つるの小島にして、農圃狭窄、遠く海路三里余の伊良部島に渉りて、以て耕種を為し、甚だ辛苦を受く。又上次辰巳両年、頻りに大飢に遇ひ、居民減少し、其の困憊を極む。逋租共計八百八十七斛余零有り。上届卯年より下届戌年に至るまで、毎歳数を期して、以て奉アせんとす。但冊使を款待するの需、甚だ多し。是くの若く毎年数を期して奉アすれば、則ち前項の用度敷かず。務めて須く力を殫し心を戮せて、冊使未だ国に臨まざるの内、逋税を奉納すべきの処、分別飭示す。幸に本村前泊筑登之・友利筑登之・仲間仁屋・世武荷川取・蒲戸前泊・加コ前泊等克く前意を体し、指揮の方法を改め換ヘ、凡そ事は各頭を分ち、教示を加ふの処、役人等業に飭行を経たり。該前泊等、毎事商議して、百姓を勧励し、力を農畝に尽くす。是れに由りて、年貢及び本島用度の米穀は、併に下届戌年に迄るまで毎歳数を期して之れを奉納し、逋租倶に納清を致す。此れを除くの外、毎年数を過ぎて奉納し、本年に至り納過の貢賦共計四十八石余零なり。分宜の奨を賜ふを請ふ等の情、各役の呈文に、在番・頭目等の印結を粘添して前み来り、爵位を賞賜す。