[本文1499]【本日、八重山島崎枝村の宮里仁也の仁行を褒奨して、以て筑登之位を賜ふ。】八重山島崎枝村有る所の駅舎及び公布を織るの屋、前年暴風に吹き倒され、又蕃薯を吹き損じ、粮食欠乏す。是れに由りて、其の舍を改造するの材木を伐取すること甚だ妨ぐ。其の村の宮里、蓄ふる所の大米一斛五斗七升・価一斛の牛一口・醤・塩等の件を将て、入山の人等に発与して、材木を伐取せしむ。且去年九月の初より、旱魃災を為し、植芋、美少くして食用敷かず。時に地船を造る。其の木料に至りては、名蔵村山に往きて之れを取る。計るに二里余なり。故に帯粮継ぎ難く、而して其の材亟かには取れず。数日に挨到し、労を致すの勢を見る。入有の神酒中壷五個・焼酒百十盞・価一斛の牛一口を恵給して、以て勧励を致すに、一連四日にして伐取全く竣る。担に此れのみならざるなり。村人に交るに和睦を以てし、農務に於て怠惰する無し。家資、裕に就き、毎年古米を以て年貢を抵納す。今已に過納すること十六斛なり。該里、此くの如く村の為に謀を貽す。不凡と謂ふべし。褒賞を賜ふを請ふ等の由、管役具呈し、在番・頭目具詳して前み来る。筑登之位を賞賜す。