[本文1522]【本年三月初五日、人家併びに松木を吹き倒す。】美里郡の属地泡瀬・奥武は隔海の小地に係る。此の日、風辰巳位に在りて雨大いに下る。午刻に至り風転ずるの模様有り。猛起して幾ばくならざるに未申位に転じ、風雨紛々たり。泡瀬の人屋、方三間以下大小各十九家を吹き倒す。又奥武の人屋、方二間半以下大小各六家の蓋茅を吹き破る。然れども別に妨ぐる所無し。且具志川郡の属内上江洲下に至るも亦其の風雨を被りて、人屋長さ二間半・横一間半以下大小各九家を吹き倒す。又具志川村屋波宜原の松二本、囲は二尺五寸、田場村加コ久原の松四本、囲は二尺を、根より一丈以上共に吹き折るに到る。此くの如く種々の災有りと雖も然も人命を害ふこと無し。