［本文1563］【本年十二月二十七日、美里郡嘉手苅村の仲宗根筑登之・伊波村の登川仁屋等の功労を褒賞して各々爵位を賜ふ。】美里郡嘉手苅・伊波両村に有る所の水田の内、出産一百六十余石の区は、原、潦水田に係る。故に少些の旱魃に逢ふと雖も、其の水乾き易く、以て栽稲し難し。毎年貢賦を賠納し百姓人等其の苦労を極む。幸に嘉手苅村の仲宗根筑登之・伊波村の登川仁屋其の外一十余八人、心を留め慮を発し、自ら資斧を損して、久我智山川原より起して、高さ一丈二尺・長さ二丈四尺・横九尺の岩を割除し、堤井を鑿闢す。既にして長さ四百六十間・横二間より以て一間に至り、深さ四尺より以て三尺に至るの水道を掘り開き、水を注ぎて田に入る。是れに由りて時に乗じて稲を芸ゑ、永く村中の利益と為ること甚だ多し等の由、該両村頭目・掟等呈文し、酋長・使者・両惣地頭・田地奉行等印結を加具して前み来る。随ひて各々爵位を賜ふ。