[本文1572]【本年、豊見城郡高安村の前の座安親雲上の善行を褒奨す。】豊見城郡高安村の前の座安親雲上は、六歳の時、其の父、根差部掟役に任じ、私債の事の為に不法有るに因り、業経に流罪に坐すを蒙る。該座安、只堂伯父の養育を承けて以て成人と為り、深く養父の恩に感じ、凡事其の命ずる所に随ひ、能く孝養を致す。且夫の父親、流さるるの島に在りて已に蘇鉄を製喫するの法を教ヘ、著しく其の功を立つ。是れに由りて流罪を赦すを蒙り、以て籍に回るを得。故に親生の父母并びに養父母等を、倶に一家に孝養す。毎日のエムは、則ち嗜む所に随ひて調進す。又公私の事務有りて出でて外に行くのときは、必ず告辞を為し、回りて内に来れば、即ち謁見を致す。又急務の時に当りても、亦其の行を失はず。其の世を棄つるの後に至りても、神主を尊敬すること猶生存するが如くして能く誠を致す。又親族縁者に至りても、交はるに和睦を以てす。又平良村の亀大城・高安村の蒲戸宜保、已に家貧にして営生する能はざるに因り、該座安深く憐を加へて、以て構屋の宅并びに営食の圃を給す。但に此れのみならず、又貧苦者に仍憐憫を垂れ、時々米銭を発給して、以て食用に資す。又貧民等送死の需を備ふること無ければ、随ひて自ら資を発し、以て其の需を補ふ。或いは自己の貯無ければ則ち他家に借りて以て賑給を為す。且勤むる所の公務は肯へて惰怠せず。又両次地頭代役に充任し、克く指揮するに因りて、郡中已に将来益有るを見ること小ならず等の由、各村掟・頭目・酋長等僉呈し、検者・両惣地頭・田地奉行印結を加具して前み来る。随即駕行可嘉の四字の掛床一個・綿子三把・上布三疋を賞賜す。