[本文1579]【本年八月七日申の初刻、雷、向克明の楼に震ふ。】此の日、向克明(名護按司朝寛)、楼梯に在りて、事を跟伴仲兼久仁屋に嘱するの時、雷公忽ち其の上に落ち、両人気を失ひ百薬効無く遂に共に身故す。且楼柱六本・小壁・天井・戸・床及び座上の各処を撃破し、北隅の軒端五尺ばかり上の瓦を吹き起す。然れども其の瓦の底竹は旧に仍りて異なる無し。雷公何処に震落し、何処に纔出するやを知らず。