[本文1586]【本年九月二十一日、八重山崎山村の崎枝仁也の善行を褒嘉して爵位を賜ふ。】八重山崎山村の崎枝仁也は、人是れ明幹なり。毎年の賦米全納して次かず、又村人と交はるに和睦を以てす。又自ら諸凡の耕種の法を試みるを歴て、丁寧に村人に教へ告ぐるに耕種の時節を以てす。已に播種の時に当り、躬親ら該処に巡り到り、細さに農法を教ふ。是れに由りて諸凡の産物前に比して多きを加ふ。且賦米の不足者に於ては、大米を給発し、又粟種の敷かざる者に于ても、粟種を譲与し、能く村人の為に料理す。益を貽すこと此くの如し。褒奨を賜ふを請ふ等の由、在番・頭目等詳報して前み来る。随即其の善行を嘉して筑登之位を賜ふ。