[本文1587]【本年十月初一日、玉城郡の地頭代仲井真親雲上等の功を褒嘉して各々爵位を賜ふ。】玉城郡玉城村加根喜利原に天水田有り。小旱に遇ふと雖も耕耘するを得ず。地頭代仲井真親雲上・夫地頭嶺井親雲上其の外二十名、相共に慮を発し、田地奉行の主裁を請ひ、自ら資財を損して、該村樋川の水降るの処に於て、岩石を削除して水道を鑿通し、其の内に矼を築くこと長さ五間。此れより以て加根喜利原の水田に至るまで、処々土山を削除して承溝を鑿通し、水を租米三十八石余の水田に注入す。又有る所の稼穡の地共計二千九百七十八坪は、原、湿地に属して耕種施し難し。因りて、掘りて水田と為し、其の獲る所の米穀、前に比して多きを加へ、永く村を益す等の由、各頭目・掟等呈文し、酋長・検者・両惣地頭・田地奉行等印結を加具して前み来る。随即其の功労を嘉して各々爵位を賜ふ。