[本文1591]【本年、八重山島鳩間村の兼久仁也の功労を褒嘉して爵位を賞賜す。】八重山島鳩間村の兼久仁也は、人と為り篤実にして、郷党に於ても、交はるに楓rを以てす。且命を督役に請ひ、百姓に指教して農時を失はしめず。荒地を墾するの時に至りても、焼酒・神酒等の件を発給して以て鼓舞を示す。且友利嶽拝殿は、原来瓦を用つて起蓋するも、奈んせん颶風に吹倒さるるに因り、厥の後無pの茅屋に改造し、修整の煩に勝へず、屡々夫役の擾を致す。此に於て該兼久、自ら私費を捐し、瓦を用つて長さ九尺・横七尺の殿を起蓋す。又高那村は、日食匱乏し、正に米を移して飢に充つるの秋に在り、百姓以て力を農業に竭くし難し。該兼久、給するに自己栽うる所の蘇鉄を以てす。此れを除くの外、又価銭を取らずして発給する者有り。其の、島中の料理を為す者小からず。伏して乞ふ、功を酌みて褒奨せよ等の由、在番・頭目朝廷に具禀す。随即筑登之座敷位を賞賜す。