[本文1592]【本年、伊平屋島田名村の伊礼筑登之等の功労を褒嘉して爵位を頒賜す。】伊平屋島田名村は、従前竹籍の設有ること無く、屡々用を欠くの憂有り。本村の伊礼筑登之・泉川筑登之の両人、各自資を捐して竹籍を創開し、以て村中に与ふ。且原来、煎塩の挙有ること無し。該伊礼等、佐子富浜の晒塩の善場為るを見て、又私資を捐して大畦を築き立て、以て晒塩に便す。此れに因りて人各々便に随ひて以て日用の塩を煎る。且西原を経過するの山路、已に壊れて往還に便ならず、許多の田地を抛荒す。又該伊礼等、村人に申し勧め、夫を出して固く修理を致さしむ。今抛荒の地を将て耕種の利を獲、益を本村に貽す者少からず。又飢荒の時に遇へば、困窮の人を怜れみ、給するに私栽の蘇鉄を以てす。又病む者有るを見れば、米穀・豆醤等の件を恵給す。且二号貢船漂泊の時に当りては、之れが引導を為す。且其の人と為りや、農業に老ゆ。而して百姓に於ても交はるに和睦を以てす。故に其れをして村中を教示せしめ、万事正に励勤の際に在り。伏して乞ふ、其の功を酌察して爵位を頒賜せよ等の由、百姓僉呈し、酋長・検者・惣地頭・大美御殿大親・高奉行印結を加具して朝廷に具禀す。随即各黄冠位を頒賜す。