[本文1599]【本年、八重山島真栄里村の新里仁也の善行を褒嘉して爵位を賜ふ。】八重山島真栄里村の新里仁也は、人となり明幹、毎年貢賦を奉納して毫も欠無し。村人に至るも、交はるに和睦を以てす。且札持頭に任ずるの時、諸事心を留めて教を加へ、更に諄に百姓に勧めて力を田畝に尽くさしむ。又病に染む者二人、貢賦を備弁する能はざるに因り、上届辰年より以て申年に至るまで、米八斛七斗五升を分給して其の貢賦を完うせしむ。又上届亥年、新に荒土を墾するの時、牛一疋の価米二斛を将て村人に給発し、以て鼓舞を示す。又上届子年凶荒の時、米一斛を将て貧苦の人民十七名に分給し、以て餓リを賜ふ。該新里、村の為に料理すること此くの如し。請ふ、酌みて褒奨を賜へ等の由、該島在番・頭目等朝廷に詳報す。随ひて筑登之座敷位を賞して以て其の行を表す。