[本文1619]【本年、与那城郡惣耕作当平安座村の池味親雲上等の功労を褒嘉して各々爵位を賜ふ。】与那城郡平安座村に有る所の水田は、多く天沢に頼り、小旱に逢ふと雖も稲苗登らず、貢米敷かずして百姓共に困窮に及ぶ。惣耕作当平安座村の池味親雲上及び前の夫地頭同村の饒辺筑登之の二人、田地官の主裁を請ひ、人民二十名を率同して、各自資を捐し、上届卯年以来、堤井六個計長さ三間五合より十一間五合に至り、濶さ二間五合より十間五合に至り、深さ六尺より一丈四尺に至るを鑿開す。又新に水田一千八百八十七坪を掘り、該泉水を導きて租米一百四十石余の田に注入し、方に変じて良田と成す。稲苗も亦優に芸うるを為し、永く益を百姓に貽す。是に于て頭目・掟等呈文し、酋長・検者・下知役・両惣地頭・田地奉行等印結を加具して朝廷に禀す。随ひて各々爵位を賞して以て其の功を表す。