[本文1632]【本年、佐敷郡、地崩る。】此の年五月二十八日より六月朔日に至るまで、大いに雨ふり、津波古村の西方に有る所の比良原の采地・民地より以て山藪に及ぶまで、大いに崩隋する有り。共計長さ六百間・濶さ一百五十間計りなり。漸を逐ひて流れ移り、近村辺に逼り、村人驚忙す。人家六個を毀除するも、方に命を傷ふの患を免るるを得。然れども一墓の損壊する有り。該崩陏隋地方は、昔に在りては、租米一百余包を収得するも、今に於ては耕耘するを得ず。