[本文1694]【本年、八重山島平久保村の宮良仁屋の善行を褒嘉して爵位を賜ふ。】宮良は、人と為り、村人と交はるに和睦を以てす。上届酉年、該村猪垣を設作するの時、牛一口の価米を送給し、並びに焼酒・神酒を給す。旧年大いに猪垣を修するの時に至りても、又焼酒・神酒を送給し、並びに大米七斗余・牛一口の価米を給す。且貢賦を欠する者に於ては、大米三石余を発給す。且上届戌年、永く旱魃に逢ひ、栽藍時を失ひ、亥年に至りて公布を染ネするの藍ソを備へ難し。又乾藍ソ二十斤・藍ソ玉二十五斤の各価米を発給す。上届亥年、小麦登らず、種貯有ること無く、播種時を失ふのとき、又其の種を買給す。且貧乏者に於ては、耕牛一口を給して価米を資せず。且小浦の道路は人馬通じ難し。自ら老少男丁二百九十二人をレひ、大米一石五斗を送給し、並びに牛一口の価米・焼酒・神酒を給して、南登西登の路を開修せしめ、方に人馬往還の便を得、多方に村の為に照料す。是れに由りて筑登之座敷位を賞賜して以て其の行を表す。