[本文1710]【本年九月初十日、大風大水ありて石の海より揚るもの三。】是の日、暴風大いに起る。国中、人命を損失するもの共に十四名、人家を吹き倒すもの共に三千二百九十三戸、倉廩を吹き倒すもの共に二十三戸、海船を損壊するもの大小共に九百九十隻。公署・寺院・田圃・川涯・路条・稼穡に至るも亦吹損せらる。又玉城郡奥武村に海波騰揚し、人家を洗蕩するもの共に七戸。久志郡久志・川田・宮城等の三村に至りても、亦海水湧騰し、人命を淹斃するもの共に十名、人家を洗流するもの共に四十七戸なり。又喜屋武郡喜屋武村の南浜に、大石の海より揚るもの三有り。其の一は是れ高さ六尺五寸・長さ一丈六尺・横六尺五寸にして岸を離るること五十間ばかり、一は是れ高さ六尺五寸・長さ・横各々一丈一尺にして岸を離るること百間許り、一は是れ高さ三尺・長さ一丈九尺・横一丈新崎塩垣を離るること三十間許りなり。