[本文1731]【本年、八重山島黒島村の、味屋久西原の善行を褒嘉して以て爵位を賜ふ。】味屋久西原は、人と為り篤実、村役に任ずること二十七年、窮民の欠貢に遇ふ毎に、粟穀を給発すること共計三石五斗。現今世持役に任ずるも、未だ敢へて怠惰せず。又該村原、水田無く、専ら乾田の所産を以て貢賦を備弁す。乃ち前年の冬に至り、霖雨連りに降り、播く所の粟種、水に湿傷せられて、以て再び播種を行はざるを得ず。但粟種欠乏するに因り、旧に仍りて播種するを得ず。該西原、粟種三石を給発し、村人をして全く播種を得しむ。是れに由りて、該島在番・頭目等、褒賞を酌賜するを呈請し、法司王に奏して、赤冠位を賜ひて以て其の行を表す。