[本文1737]【本年、鳥小堀村の阿立忠西平筑登之親雲上守信の善行を賞して以て褒章を賜ふ。】是の年、三平等各村、地を択びて学を建つ。鳥小堀村も亦学を建てんとして未だ宅籍を得ず。其の村の阿立忠の外宅は、固より学校を建てるべきの地に属す。村人之れを察し、買ひて以て学を建てんとす。該阿立忠意謂へらく、学を建て教を施すは、此れ村の無かるべからざる者なり。況んや其の宅に在りて学を建つること、豈幸に非ずやと。遂に其の宅籍を以て村に献給し、学校を設建す。其の宅籍を計るに、周囲六十四坪、折価七千四十貫文なり。又前年該村ユに回禄に逢ひ、人家二十戸を焼失す。内十八戸は其の貧苦を極む。該阿立忠、戸毎に銅銭各五十貫文を分ち給し、以て其の苦を恤れむ。是れに由りて、総横目官、褒賞を酌賜するを禀請し、法司王に奏して、賜ふに褒章を以てし、更に其の行を陳べて、首里三平等・唐栄・那覇・泊等の処に通行して、咸聞知せしむ。