[本文1914]【本年、八重山島崎山村の稲福仁屋の善行を褒嘉して爵位を賞賜す。】該福、幼穉の時父母に背かれ、乃ち其の伯母を将て己が家に奉移し、常に孝養を尽くすこと猶現生の母のことし。故に該伯母、歳老邁と雖も、身尚壮健なり。且該福の姉生む所の二子は、皆幼冲にして父母を喪ひ依帰する所無し。即ち悽惨の心を発し、家に移して養贍す。又該福、村筑に任ずるの時、諸凡の賦税力の備弁する無き者有るを見れば、大米五斗余奇を発給して以て貢賦を完うせしむ。又村民、猪垣を築立するの時に於ても、神酒・焼酒・猪豕等の件を発給して以て鼓舞を示す。故に村民踴躍して事に趨き、日ならずして成を告ぐ。其の益を貽すこと少からず。且村民と交はるに和睦を以てし、凡事行ふに正道を以てす。挙村の人等感服せざるは無し。是れに由りて爵位を賞賜して以て其の行を表す。