[本文1948]【本年、太平山島に大風大雨あり。】太平山島、是の年八月二十日の夜戌時より翌日に至るまで、風雨大いに作り、各村駅亭及び人家を吹倒すもの共計四百三十八ウ。其の外、人家の風雨の為に吹損せられ居住するを得ざる者、挙げて数ふべからず。時に狩俣村百姓大城筑登之の、屋に覆はれて死する有り。又張水泊浜涯に築く所の堤防及び其の浜船屋下涯長さ十七丈二尺・横二丈六尺・高さ一丈五尺許り、併びに下地辺往来の浮道三百七十三尋余、共に大波に打ち破らる。又上地村の山敷田と叫び做すの処、浜を離るること約四十尋許り、海潮其処に騰入すること約一丈許り。且与那覇村、七嶺大道と叫び做すの浜に、海浪騰湧し、五十尋余浜と相離るるの旱田及び該村後面の各家の床下に侵入す。