[本文2008]【本年、与那城郡平安座村の前の池味親雲上・屋慶名村の前の池味親雲上の二名曁び郡民二十六名を褒嘉して各爵位を賜ふ。】与那城郡平安座村浜辺の山野は、原、地勢斜下して風波騰虐の処に係る。前去両年、大風に吹き損ぜられ、有る所の稼穡の地、殆んど崩破に、及び及早に修葺せざるべからず。因りて其の費を計るに、已に銅銭二万貫余文に及ぶ。奈んせん村民困疲し、力の調辧する無し。幸に平安座村の前の池味親雲上・屋慶名村の前の池味親雲上の両人有り、郡民二十六名を率同し、各自ら資を損して固く修葺を行ひ、仍旧形を失はざらしむ。又地畝の境、土高くして危険なるを見て、乃ち鋤して其の土を平にし、石を以て七階を築き成す。而して地畝六百八坪七分・山野三百四十一坪三分を将て、新に水田共計九百五十坪を掘る。又其の田の水無きを以て、乃ち泉水を探求して瀦池を掘作し、復溝洫を決排し、其の水を以て田中に注入して、永く播種の利と為す。是れに由りて朝廷、各爵位を賜ひて以て褒典を示す(平安座村の前の池味親雲上、其の功を挙庸することを懇請す。随ひて允准を行ふ)。