[本文2024]【本年、佑世雄照屋筑登之親雲上孚忠を褒嘉して越階して座敷位を賜ふ。】佑世雄照屋筑登之親雲上孚忠は、幼年にして父を失ひ、母に事へて孝を尽くす。祖親の祭祀に至りても、亦在すが如きの誠を致す。且其の兄早死し、子皆幼稚にして日営維れ難し。該照屋、銅銭一万二千貫文を恵給して本と為し、更に銅銭六千貫文を給して家を修せしむ。又親族より隣家に至るまで、交はるに和睦を以てし、其の不虞の費に逢へば、即ち米銭を発して之れを給し之れを借して、以て其の用に備ふ。先年、痲疹・疱瘡・凶荒・疫癘の時に至りても、亦其の家の有無を察し、或いは米銭を給し、或いは薬料を送りて、以て其の需に備ふ。葬礼を具へること能はざる者を見れば、即ち銅銭を発して、或いは息無くして之れを借し、或いは恵給を行ひて、以て其の礼を全うせしむ。又上届未年、隣家偶々回禄に遇ふ。該照屋、銅銭二千貫文を発給して、以て燃眉の急を救ふ。至若、郷学を設立するの時、自ら資斧を捐して、以て築垣の需に備ふ。其の行感服せざるは無し等の由、親族・五甲・隣家人等僉呈し、村中の尊長印結して禀明す。是れに由りて朝廷、越階して座敷位を賞賜し、以て褒典を示す。