[本文2046]【本年、宮古島の講解師を罷退す。】宮古島は、上届未年以来、朝廷、唐栄儒士一名を遣去して、充てて講解師と為し、隔年に一たび換へ、経伝を教授せしむるに、通島深く洪恩に感じ、専心教を領く。但々礼に于て、該師には、則ち米穀を送るを除くの外、或いは海洋を往還するの艙資有り、或いは盤纏を押運するの艙資有り、或いは館舎を造修するの費用有り、或いは交代の時権りに館舎に備ふるの租費有り、或いは水夫・灯油及び供応の物件等の費有りて、共計大米六十余石。奈んせん近年に至り、島民困疲し、欠く所の貢賦年一年を増し甚だ労苦に及びて、前項の費を備辧する能はず。乞ふ、暫く交代の師を罷め、島中に于て人を選びて師と為し、其れをして教を施さしむるを准せ等の由。又本島経に朝廷の講解師を遣去して学業を振励するを蒙り、其の恩浅からず、今島民疲に就くに因り学業に荒む者有り。固より応に意を加へて引き誘ふべし。豈一旦疲に就くの故を以て、該師を罷退することを詳請すべけんや。乞ふ、例に照して邀請するを准せ等の由。該島吏役人等、意見互に異にして詳明し、在番・頭目・検見役等朝廷に転禀す。法司議定すらく、今該島其の困疲を極む。且島人の師に充つべき者約五人有り。師を退けしむると雖も、並も教を施すの妨無しと。乃ち今般交代の時に于て、暫く罷退を行ふ。