［本文2068］【本年、太平山島の前里筑登之等十名を褒嘉して各爵位を賜ふ。】太平山島比嘉村の属地寄の大川・浦底・野嘉那・佐事等の処に、多く衆民の水田有り。皆荒蕪に棄てて人の耕耘する無し。又多く水田を開くベきの野有り。時に検使の在島する有り。該村胥役等に着令して水田を墾開せしむ。去後、称に拠れば、一万五百余坪は、水田を闊き成し、其の余の一万五千余坪は、七年を限定して以て開き成すべし等の由。随即島民前里筑登之・川満筑登之・川満筑登之・比嘉筑登之・川満筑登之・比嘉仁屋・砂川仁屋・前里仁屋・前里仁屋・川満仁屋等十名に着令して其の督理を為さしむ。該前里等、精力を振励して土民を引誘ふ。而して窮民に於ては、給するに地畝・牛馬等の類を以てす。是れに由りて人皆力を励まして田を開き、更に水田二千百三十余坪を開く。水田を総計するに共に二万七千六十坪に及び、永く村中の益と為る。伏して乞ふ、褒賞を酌賜せよ等の由、該島検見役曁び在番・頭目等朝廷に詳明す。是れに由りて各爵位を賜ひて以て褒典を示す。