[本文2070]【本年、太平山島来間村の仲宗根仁屋等五名を褒嘉して各爵位を賜ふ。】太平山島来間村は、百姓困疲し、貢を欠き賦を滞る。幸に本村の仲宗根仁屋・砂川仁屋・前里仁屋・下地仁屋・来間仁屋等五名有り。胥役の令に遵依し、百姓を引誘ひて農業に胼胝す。時に厥の後より凶歳に逢ふと雖も、貢賦を全納して少しも欠無し。且前日欠く所の貢賦共計大米二十石一斗五升余奇は、原、三年を限定して逐漸償納するを許す。該仲宗根等、之れが為に籌画し、去年より今年に至るまで、小米・太豆・小麦等の項を将て扣抵して納清す。但に此れのみならず、百姓に着令して広く苧藍を栽ゑて以て衣服の用に備へしむ。更に蘇鉄三千百八十株を植ゑて以て不虞の需に備ふ。該仲宗根等、村の為に益を図ること洵に一端に非ず。伏して乞ふ、褒賞を酌賜せよ等の由、該村胥役呈詳し、該島検見役・在番・頭目等印結を加具して朝廷に禀明す。是れに由りて各爵位を賜ひて以て褒典を示す。