[本文2073]【本年、八重山島新川村の当間筑登之を褒嘉して黄冠を賞賜す。】八重山島新川村は、近年以来疫癘饑饉踵を接し、人居減少して貢賦弁じ難く、其の苦疲を極むるに至る。本村の当間、馭民の責有るに因り、一切の事務は細さに村民と相議し、教ふるに興に就くの策を以てす。又去年、麦豆登らざるの時、麦五斗・豆二斗五升を将て、窮民に分給して以て播種の用に備へしむ。且村民開く所の田畝を鋤治するの時、神酒中壷四個を給発して以て鼓舞を示す。又該村は冶工、人無く、器具、用に乏し。該当間、一善く籌画を尽くし、人品を択察して、其の工を学習せしむるの時、大米二石五斗起を将て村民に給発し、千割鉄一百zを買購して以て冶器を造らしむ。但に此れのみならず、利を村に貽すこと屈指に勝へず。伏して乞ふ、褒賞を酌賜せよ等の由、該村百姓・胥役等僉呈し、該島検見役・在番・頭目等印結を加具して朝廷に禀明す。是れに由りて黄冠を賞賜して以て褒典を示す。