[本文2076]【本年六月初四日、亜米理幹国船一隻の那覇洋面に到来する有り。】此の日、異国船一隻有りて、那覇洋面に到来し、抛錠して停泊す。即ち唐栄大夫・通事曁び首里通事等を遣はし、其の来歴を問はしむ。称に拠れば、亜米理幹国船隻に係り、通船共に二十一名有り。其の内一名は、是れ日本人に係る。曾て洋中に在りて其の人を救起し、正に下田に解送せんとして、経に香港に在りて開船し、貴国に順到す。五六日間天文を窺ひ看て後駕去せん等語と。初八日に至り、該船頭目曁び小官一名有りて、学校に到来し、地方官に面会して暫時相談じて回船す。当経、豚・羊・鶏・鶏蛋・蔬菜等の件を送給して以て食用に充つ。且該亜人等、屡々活鶏・鶏蛋・蔬菜等の件を求むるに因り、多寡を酌量し価を定めて之れを給す。該亜人等、即ち洋銀三円・小洋銀二円を算還す。十三日に至り開船して帰去す。