[本文2081]【本年、rqル国人国に到りて破船する有り、特に船楫を給し、自ら駕して籍に回らしむ。】此の年十月初九日、rqル国船一隻有りて、徳之島に漂到し、礁を衝きて撃砕す。通船共に二十四名有り。該島、該難人等を将て小船三隻に分載し、其の飯米諸物を将て小船一隻に装載し、本月十八日、徳之島に在りて一同に開洋、次日国頭郡奥問村の洋面に駛到し湾自す。二十二日に至り、首里通事を遣はし、該船に到りて其の来歴を問はしむ。該船頭目の口称に拠れば、r国人に係り、共に二十九名、貿易を為さんとし、船一隻に坐駕し、国に在りて放洋す。゚想りき、半洋に駛せ到るのとき、忽ち颶風に遇ひ、徳之島に漂到して礁を衝き撃砕すとは。四名は溺死し、一名は病を患ひて上岸、日ならずして死す等語と。二十三日に至り、即ち該難人等を将て、旧に依りて小船三隻に分坐せしめ、其の食物を装載するの小船と連開洋し、今帰仁郡遍那義村の港口に駛到して湾泊す。次日該四隻一同に開駕す。但天気好からざるに因り、三隻は楫を転じて駕回し、一隻は其の夜戌刻泊港に到来す。即ち通事及び属役等をして該難人等を率帯せしめ、聖視寺に安頓し、意を加へて撫養す。二十六日に至り、該三隻も亦泊港に到来す。即ち仍聖視寺に安頓し意を加へて撫養す。十一月初二日、該頭目の口称に拠れば、我等頻りに及早に回国せんと欲す。乞ふ、我等を将て福州に解送せんか、抑々又船隻を発給するか、宜を酌みて照料せよ等語と。即ち回覆して曰く、西洋人を将て福州に解送することは、例の拠るべき無く、以て護送し難し。今、船隻を発給せん。爾等宜しく自ら駕回を行ふべしと。該難人等一たび之れを聞くの下、大いに喜びて鳴謝す。随即該頭目をして船隻を査核せしめ、而して後槓閧整備して之れを給す。該頭目、又人を遣はして行船の法を教示するを請ふ。即ち船に老ゆる者七名を遣はし、r人十五名と同じく船上に坐し、親しく其の法を教へしむ。本月初七日開船して回り去る。