［本文2095］【本年、宮古島の砂川与人の功労を褒嘉して其の母の襪を穿つことを允准す。】宮古島の砂川与人は、在任以来、百姓を指揮して農業に胼胝せしむ。且該島は、原、藍草・麻苧・蕉苧・棕梠・久葉・蘇鉄等の項少し。該与人、目差と会議し、百姓に着令して多く栽植を為さしむ。且該島は欠賦甚だ多く、只地畝の出産を将てしては、例貢を奉納するを除くの外、更に欠賦を納むるは、実に堪へ難き所なり。該与人、農隙を察見し、百姓に着令して野地一万四千四百坪・荒地五千六百坪余を開墾し、以て出産を広めしむ。且島民家を造るの時、繁華維れ崇びて費用少からず。該与人、百姓に着令して其の悪習を改めしむ。且屡々麻苧・焼酒・茶葉等の件を給して以て恩恵を施す。但に此れのみならず、凡事島の為に籌画し、多く利益を貽す。是を以て朝廷、客歳褒書を賞賜して以て其の身を栄す。但々其の母親、年已に八十六歳、以て寒に耐へ難し。該与人、母をして襪を穿たしめんと欲すると雖も、奈んせん先父は只勢頭座に陞るのみに因り、越級して襪を穿つを得ず。曷んぞ歎息に勝へんや。伏して乞ふ、自己の功労を挙庸して、母をして襪を穿ち寒を禦がしむるを恩准せよ等の由、該与人呈称し、該島検見役・在番・額目＜頭目＞等印結を加具して朝廷に禀明す。随即允す。