[本文2102]【本年、勝連郡内間村の前任夫地頭浜崎親雲上を褒嘉して爵位を賞賜す。】勝連郡内間村の前任夫地頭浜崎は、天質粋美にして、上は父母に善く孝道を尽くして優に衣食を備ヘ、下は家人にも亦慈養を致して職業に引誘ふ。但に此れのみならず、内は親族姻魔謔闃Oは村中の人等に至るまで、交はるに和睦を以てす。而して貧人染病の時に当りては、或いは米銭を送り、或いは物件を給して、以て療治に便す。又上届午年、寒雪頻りに降り、薯蔓を損傷して、多くエム継ぎ難き者有り。該浜崎、粟・麦・唐豆等の件を将って、息無くして発借し、以て日食に資す。又曾て年成雅ならず曁び痘瘡疫癘流行するの時、内間・津堅・神谷三村の貧乏者を見て、即ち米銭黒糖等の件を将て、或いは便に随ひて分給し、或いは息無くして借給するの外、更に大水を将って、売るに価賤価を以てし、以て其の用に資す。又村民の貧窮にして葬人造家の資無き者を見れば、即ち米銭麦等の項を借して利息を収めず。又上届巳年、禾稼登らずして貢賦を弁じ難きのとき、即ち銅銭四千貫文を将て、息無くして発借し、以て賦額を全うせしむ。且前項借する所の米銭、力の償還する無く、以て挨延を今に致すを見れば、即ち云ふ、宜しく富潤の時を侯つべしと。償還を遅緩するも、毫も催徴の意無し。又糞桶十担を将て、用を欠く者に分給して以て農器に備へしむ。又村民積年困疲し、多く私債を負ひ、授くるの所の田畝を其の息に扣抵して財主に交給し、其の窮苦を極む。是れに由りて田畝を贖はんと欲し、乃ち金銭を設け為し、該浜崎所有の荘契を借領し、之れを以て当と為して其の銭を収納す。既にして田畝を贖ひ復欠債を償ひて、以て窮苦の憂を免かる。又該浜崎と掟・頭目人等とは、事、巨細と無く、相共に会議し指揮を施行す。百姓人等、其の令に承従して農業に胼胝し、漸く富饒の況有り。今夫れ該浜崎は善行の人と謂ふべし。伏して乞ふ、褒賞を酌賜せよ等の由、内間・津堅・神谷三村の耕作当・頭目・掟等僉呈し、該郡酋長・検者・下知役・両総司・田地奉行等印結を加具して朝廷に報明す。是れに由りて座敷位を賞賜して以て褒典を示す。