[本文2129]【本年、宮古島池間村の喜佐仲間を褒嘉して爵位を賞賜す。】去年冬、獄庭員役等、宮古島に航するの時、池間村洋面に駕到するや、風の根俄かに転じ、大雨忽ち降る。時に黒夜に遇ひ島形を見ず。且該洋面は、保的長礁の内に在りて、輒にはsに駕出する能はず。正に危難の秋に在り。該島民の其の船に附搭する者、問信の小舟盪来すること有るに因り、乃ち便に乗じて卸去す。時に搭する所の仲間、其の洋路を識熟するに因り、以て引導を為さしむ。遵即精を励まして操舟するの間、風雨漸く静まる。因りて帯ぶる所の杉板を将て卸して水上に浮ベ、船人と恊同し、水浅く曁び礁有る等の処に于ては、火を設けて記しと為し、纔めて恙無く駕到するを得たり。爵位を賞賜することを懇請す等の由、該獄庭員役呈称し、在番・検見役・頭目等印結を加具して朝廷に禀明す。是れに由りて爵位を賞賜して以て恩典を示す。