[本文2152]【本年、異国船一隻の到来する有り。】此の年五月二十九日、異国船一隻有りて、那覇洋面に収到し、抛錠湾泊す。即ち大夫・通事曁び通事係等を遣はし、来歴を訪問せしむ。答へて云はく、rqル国商船に係り(其の船、長さ十三丈・濶さ二丈五尺)、通船共に二十三人(内、r人十八名・華人五名・女人一名有り)。上海開船し、用水糧食を需めんとして来ると。三十日、該船頭目曁びr人一名・華人一名、杉板に坐駕して揺来し上岸す。即ち通事係を遣はし、若狭町学館に率到せしめて、茶菓・点心を給吃す。事畢りて全帖礼単を調備し、豚・羊・鶏・鶏蛋・番薯・蔬菜等の件を将て送給す。該項目、収領し謝を道ひて回去す。六月初四日、伊等需むる所の松木・芭蕉布等の件を送給する事の為に、通事係等を遣去し、即ち延きて酒筵せしむ。事畢りて松木等の項を収領し、該通事係回り来る。未刻の後に至り、該頭目曁びr人一名・華人一名・女人一名、若狭町学館に来到す。即ち通事係を遣はし、相見して礼を行ひ、茶菓を給吃す。事畢り、該女人、阿南花葛一端を需むる有り。随ひて交給を行ふ。即ち謝を道ひ相談じて回る。且泊船の間、牛・豚・鶏・鶏蛋・大米・麺・黒糖・番薯・茶葉・菜油・蔬菜・用水等の件を将て、随ひて需め随ひて給す。其の収むる所の価銀共計番銭一百二十八員なり。初五日開船して去る。