[本文2159]【本年、与那城郡前任夫地頭池味親雲上曁び村民四十七名を褒嘉して、池味を将て越級して座敷位を賜ひ、村民四十七名を将て各一位を賜ふ。】与那城郡上原村は、田畝素より少くして、都べて天沢に頼り、小旱に逢ふと雖も、而も田水涸に就き、禾稲登らず、百姓甚だ労苦に及ぶ。時に池味有り、意謂へらく、宮城村境内下の川原に于て、三井を堀設し、堤を築き水を導きて、新に水田を墾すれば、則ち村中の利益と為らん。且♭鵠V平等原は、原、宮城・上原・伊計三村の正站に係る。奈んせん坂坡傾斜の処にして人馬往来の妨を致す。必ず須く工を起して改修すべしと。乃ち両項の費を計るに、已に七万二千二百貫文余に及ぶ。窮簷の村民、勢の能くせざる所なり。該池味、之れが張本と為り、村民四十七名を率同し、相共に資を費し、工を起して井を堀り堤を設けて水道を堀開す。而して附近の地畝に于て、新に水田を掘り、租米二十石七斗五升余を獲得す。而して亦煬エの田畝に于ては、井より水を導き、多く膏沢の潤を受く。且該♭鵠V平等に至りても、全く改修を行ひて、人馬往来の便を得しめ、永く利益を貽す。是れに由りて朝廷、池味を将て越級して座敷位を賜ひ、村民四十七名を将て各一位を賜ひて、以て恩典を示す。