[本文2174]【本年、太平山東仲宗根村の下地仁屋の功労を褒嘉して爵位を賞賜す。】下地の人と為りや、原来墾田栽稲の法に諳熟す。因りて著して田作係と為し、以て料理を行はしむるに、随即係役と会同し、百姓人等に着令して、上届戌年より起して、水田を開墾し禾稲を栽植せしむ。其の坪数を算するに、已に九万六百三十五坪に及ぶ。且其の田一帯を見察し、溝洫を決排して以て注水の便と為す。更に溝洫決し難きの処に于ては、人夫の多きを費すと雖も、而も自ら資財を捐して其の需を備弁し、以て成を告ぐるを得たり。且該島各村は、素、水田の設無く、百姓人等、田を鋤き禾を植うるの法を知らず。該地、心を留め気を着け、教ふるに良法を以てす。但に此れのみならず、自己開く所の水田を将て村中に交給す。此れを除くの外、村の為に籌画して永く利益を貽す。是れに由りて朝廷、其の功を褒嘉して筑登之位を賜ひ、以て恩典を示す。