[本文2193]【本年、鳥島の三良国吉の妻・蒲戸糸数の妻・仲村仁屋の女子・島袋筑登之の女子の四人を褒嘉して、各下布二端を賜ふ。】鳥島の女人は、素、紡織に勤むる者小し。其の衣服に至りても、強半那覇・泊等の処に買ひ来る。担に衣服の裕ならざるのみならず、甚だ不便を致す。幸に国吉の妻・糸数の妻・仲村の女子・島袋筑登之の女子の四人有り。知量人を兼ね、紡織の法に識熟して、広く島の女に教ふ。是れに由りて島の女、漸く其の教を受け、現在島民の衣服は、多く土産を用ひて以て調備を為す。今、前に陳ぶる所の如く、島中の女人広く紡織に勤め敢へて怠慢せず。故に芭蕉に至りても、亦心を留めて栽培し、之れをして逐年繁昌せしめ、甚だ島中の利益と為る。是れに由りて朝廷、各下布二端を賜ひて以て盛典を示す。