［本文2220］【本年、崎山村の励氏奥浜筑登之親雲上真富を褒嘉して勢頭座敷位に陞す。】西原郡内間村は、其の困疲を極め、農業怠慢す。土俗に至りても、亦善美ならず。只定額の下知人曁び掟の力を将てしては、実に督理し難し。幸に崎山村の励氏真富の中城郡伊集村に�ﾕ寓する有り。其の人となりや、原より能幹に属す。更に内間村に附近するに因り、該百姓と交はりを結びて年有り。其の土俗に至りても、逐細諳熟す。先年両総司・田�繩ｯ等、該真富に命じて下知人に加へ充つ。其の任に�汲ﾞの後、凡事長役の主裁を聴候し、百姓と商議して、方めて督理を為す。時に厥の後より百姓人等、其の教に心服して、農業に胼胝し、樹畜を培養す。土俗に至りても亦善美に就く。且該真富、村民を策励して諸凡の賦税を備弁し、其の備へ完るの日を待ちて之れが押運を為し、尽く上納を行ふ。且村民の内、或いは他郡に寓する者有り、或いは四方に散ずる者有り。該真富、諭するに義理を以てし、仍家庭に回し、各地畝を授けて以て耕種を為さしむ。且本村境内に、多く漁魚の処有り。曾て困窮の時に当り他村に典す。該真富、銭を捐して贖ひ回し、以て村民に授け、以て利益を為す。且家貧にして葬を具する能はざる者有るを見れば、銅銭を発借して以て送葬に資し、利息を加へず。且該村は、蘇鉄苗より以て柴薪に至るまで、共に敷かざる有り。或いは蘇鉄を栽植すれば、則ち自己所有の苗核を将て、百姓に派給し、以て栽植を為さしめ、或いは黒糖を煎熟すれば、則ち自己所貯の柴薪を将て、村民に派給し、価銭を収めず。且去年二三月間、世運雅ならず、単寒下戸は�ｴ�ﾑ続ぎ難し。該真富、其の栽うる所の蘇鉄を派給し、価銭を収めず。闔村の人民逐漸興に就く等の由、朝廷に禀明す。是れに由りて該真富を賞して勢頭座敷位に陞せ、以て盛典を示す。