[本文2253]【本年九月八日、風雨猛起し、国頭郡浜村の境内加那良原に、山嶺の崩落する有り。】此の日、国頭郡浜村の境内加那良原に山嶺の崩落する有り。約計其の長さ九十二間・其の横三十四間なり。時に稲福、妻子を率同して該処に居住する有り。大城も亦居る。其の人数共計五名。奈んせん山嶺崩落の災に逢ひ、惟に該五名死を致して跡の観るべき無きのみならず、即ち房屋曁び猪羊等の家に至るまで、亦形影無し。是れに由りて該村老少曁び大宜味郡親田村の人民、力を戮せ心を合せて土石を掘り除く。其の稲福曁び其の女子・大城の三名に至りては骸骨を掘出すも、其の余の両名は、跡の観るべき無し。是れに由りて胥役等、情由を開其して朝廷に詳明す。